きっと、智哉なりに慰めてくれてるんだよな。


「ま、行かないけどありがとう」

「別に」


話しながら靴箱に着いたら、俺たちより先に教室を出たのか瀬尾がいた。

挨拶をしようと思って口を開きかけたそのとき。


「あ、山本。ちょうどよかった」

「え?」


先に瀬尾が口を開き、俺に話しかけてきた。


「すっごく申し訳ないんだけど、これ、那奈に渡してくれない?私すぐに帰らないといけないんだけど、今日返す約束してたの忘れてて・・・」


確かに、瀬尾の隣には髙橋の姿はない。


「まだ教室?」

「あ、うん。ラッシュ過ぎるの待つって言ってた」


なるほど。

確かにテスト期間で部活はないし、一斉下校だから混雑がすごいもんな。


「分かった。渡してくる」

「ありがとう。助かった。じゃあ、また」

「おー」


俺は瀬尾を見送り、隣の智哉へと視線を移す。


「悪いけど、先帰ってて。またな」

「はいはい。行ってらー」