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「髙橋からもらった?」


本日最後の授業が終わり、智哉と一緒に下校するために教室を出る。

周りには聞こえないように、小さな声で智哉が俺に訊いた。

何のことかは言わなかったけど、俺だって今日が何の日かは知っている。


「もらってないよ。まだそこまでの関係じゃないってことだろ」


俺はため息まじりに言った。

最初から、もらえるなんて思ってない。

でも、ほんのちょっとだけ期待してる自分がいた。

だから落ち込んでるんだ。

一応、湊の次に仲の良い男子にはなったと思ったんだけどな。


「ま、そんな落ち込むなって」


智哉は俺の肩を軽くたたいた。

その言葉はうれしいけど、あんまり効果はないな。


「そうだ。帰りにチョコ食って帰るか?」

「は?帰って勉強しろよ。テスト期間なんだから」

「そっか、そうだよな」