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「あ、やっぱり太一だ」


雨が降る冬の朝、手袋ができないから手が痛い。

後ろから来た奴が顔をのぞきこんできたと思ったら、湊だった。


「あ、おはよう」

「うん、おはよ。手痛いよね」


湊も俺と同じようにカッパを着て手は何も着けていない。

だから、かじかんでほんのり赤くなっている。


「ほんとに。雨は嫌いじゃないけど、冬の朝は勘弁してほしいよなー」


雨の日は自転車じゃなくて公共交通機関や保護者の送迎で登校する生徒が多いのか、自転車置き場はあまり人がいない。


「そういえばさー」

「ん?」

「いつ那奈に気持ち伝えるつもり?」


湊に訊かれて一瞬だけ動きを止め、すぐにカッパを脱ぐために手を動かしだした。

それは、俺もずっと考えていた。

もし一緒に初詣に行けたらそのときにでもって思ってたけど、髙橋の家庭の事情で難しそうだった。