井上の言葉の意味がいまいち理解できなくて、俺は少し考え込む。


「山本が適当な奴じゃないってことは、クラスが違っても知ってる。それにさ、那奈が友達の誘いを断らずになんとか実現させようとするってすごいことなんだ。だから自信持てよ」


何故か、井上の言葉からトゲはなくなってる。

俺は特に何も言ってないんだけどな。


「あー、うん。ありがと」

「いや、これまじだからな。ゴールデンウィークに吹部1年で遊ぶときも誘ったけど、あいつすぐ諦めてたから」


そうだったんだ。

正直、髙橋の家庭環境は厳しそうってことしか知らないけど、井上が言うならそうなんだろうな。

あんまり井上のこと知らないけど、少し話しただけで信頼できる奴だってことは分かった。