別に奢ってもらおうとは一切思ってなかったから、すぐに『分かってるよ』と言った。

井上は、俺が選んだカフェオレのペットボトルを何故か2本取り、レジに向かった。


「あれ、乗らないの?」


コンビニから出て荷物を籠に入れた井上は、自転車を押して歩き出した。


「あー、5分くらいだから」

「そっか」


俺も井上に倣い、自転車を押して歩く。


「山本さ、前から那奈・・・髙橋と仲良かったっけ」

「いや、ちゃんと話したのはちょっと前だけど」

「ふーん。好きなの?」

「・・・え」


思わず俺が立ち止まると、その気配を感じたのか井上も立ち止まった。


「ふーん。好きなんだ」


なんか、いちいち井上の言葉にトゲがあるように感じるのは気のせいだろうか。


「井上も、髙橋のこと好き?」

「好きだけど、安心して。俺の好きは家族みたいな好きだから」

「そっか」

「だからこそ、中途半端な気持ちだったら那奈に近づくなよって言いたかったけど、そうでもなさそうだな」