智哉の言葉を理解するのに数秒かかった。


「山本、どうした?」

「びっくりするじゃんか」

「うるさいぞー、山本」


教室で俺たちと同じように昼食を食べていた人たちが俺に文句を言う。

当然だよな。


「あー、ごめんごめん」


みんなの文句のおかげで少し冷静になった俺は、すとんと落ちるように椅子に座った。

ってか、俺って、髙橋のこと好きなのか?

確かに気になる存在ではあった。

気になる存在で、合唱コンクールの練習を口実にやっとちゃんと話せて・・・。


「え、もしかして自分でも気づいてなかった感じ?」

「あー、そうかも」

「まじか」

「智哉は何でそう思ったの?」


俺自身も気付いてなかった気持ちに、智哉はどこで気付いたのか気になった。


「お前さー、誰とでも仲良く話すのに、特定の男子や女子に自分からちゃんと話しかけることってないんだよな。俺以外で」

「何だよ、最後自慢かよ」


そう突っ込みながらも、確かにそうかもしれないと思う。