「うちのって、うちの野球部の生徒でもありますから」
「いや、野球部員である前に生徒ですから」
顧問と担任が何故かもめている。
これは帰るべきかな。
「シュークリームごちそうさまでした。さようなら」
「おー、気を付けて帰れよー」
顧問は、もめているのが嘘のように笑顔で見送ってくれた。
外に出ると、まだ西の空にほんのりとオレンジが残っている。
靴箱まで戻ってきて、口の中の甘さが気になりお茶を飲んで流し込む。
練習終わって腹ペコだったから、ちょっと空腹がマシになった。
「へー、3組は山本がやるんだ」
「うん。湊のクラスは?」
水筒をスクールバッグに入れたタイミングで、誰かが靴箱に入ってきた。
なんとなく息を潜め、バレないようにする。
入ってきたのは髙橋と、井上っていう男子。
顔と名前は一致するけど、何組なのかまでは把握してない。