ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
夏休み明け、始業式。
登校して教室に入ると、既にがやがやとにぎやか。
夏休み終了間際には数日間課外授業もあって会ってるのに、やっぱり気持ちは新たになるんだな。
「あ、山本おはよー」
「おっはよー。元気だった?」
「おい山本。昨日も会っただろ?」
「あ、そうだった。ごめんごめん」
分かりきった冗談を言うと教室が盛り上がる。
俺は、いつの間にかクラスのムードメーカー的存在になっていた。
って、自分で言うのもおかしいか。
「あ、那奈ー!おはよー!」
俺の横を木村がすごい勢いで走って行った。
反射的にその行方を目で追うと、困った表情の髙橋がいた。
「おはよう、泉」
「もー、泉、那奈が困ってるでしょーが」
呆れた表情で木村を髙橋から剥がしているのは瀬尾。
『那奈』、か。
前は瀬尾も『髙橋さん』って呼んでたのに、名前で呼ぶ程親しくなったんだ。