「吹部もけっこう遅くまでやってるんだな」

「あー、うん。休日は17時までなんだけど、居残り練習してたから」


そっか。

そういえば、中学のときも瀬尾は結構遅くまで練習してたっけ。


「ねー、吹部って人足りてないの?」


少し前に図書館に行く途中で見た光景を思い出した。


「え、何で?」

「いや・・・ちょっと前に髙橋さんが勧誘されてるの見たから」

「あー、髙橋さんなら入部してくれたよ」


そうだったんだ。

あんまり乗り気じゃなさそうだったから、断ったのかと思ってた。


「親の許可が下りるのに時間がかかったんだって」


そうなんだ。

結構厳しい家庭で育ってるんだ。


「ねー、何で髙橋さんなの?」

「え?」

「他の女子のことは呼び捨てじゃん」


言われて初めて気が付いた。


「あー、確かに。でも、瀬尾は瀬尾って感じで、髙橋さんは髙橋って感じじゃなくない?」