ささっと本の返却と貸し出しの手続きを終えてドアを開けると、ちょうど髙橋が来た。
ドアを開けたまま待っていてあげると、それに気付いて小走りで近付いて、俺を見た。
「あ、ありがとう」
「うん。あ、髙橋さん」
「え?」
「また明日」
「あ、うん。また明日、ね」
咄嗟に挨拶をした俺に驚きながらも、ちゃんと返してくれる。
めっちゃいい子じゃん。
しかも、絶対ドキドキしてたと思うのに、ちゃんとお礼も言ってくれた。
しっかりしてるんだなあ。
髙橋と別れたあと、なんだかふわふわした気持ちを感じながら靴箱まで歩く。
途中中庭の横を通るときに、時計を見てミーティングまで10分しかないことに気付いて焦る。
着替えをして道具の準備もしないといけない。
廊下は走ると『走るなー』って怒鳴られるから、精一杯の早歩きで靴箱に向かった。