そう言う瀬尾の表情は、心なしか硬く見える。

いつも冷静に見えるけど、意外と緊張しいなんだよな。


「ちょっとな。でも、まあ、大丈夫だって」

「もー、山本っていっつも適当だよね」


ちょっと拗ねたように言う瀬尾の顔からは、少しだけ緊張が抜けたような気がする。


「ま、クラスは離れると思うけどお互い頑張ろうぜ」

「そうだね。さすがに高校まで同じクラスにはならないよね」


『じゃあね』とお互いに言って、別れた。

俺だって、明日からの高校生活の不安が全くない訳じゃない。

でも、新しい世界に行くのはわくわくする。

間違いなく野球部には入るし、友達もできるし、もしかしたら彼女もできるかもしれない。

どうなるかは分からないけど、きっとこれからの人生において、高校生活はかけがえのない物になると思う。

だから、1日1日を大切に、思い出をたくさん作っていきたい。