「もしかしなくても、忘れてた?」
「あー、うん」
「素直でよろしい」
山本くんは私の頭をなでてくれるけど、子ども扱いされてるみたい。
「あ、上がって行く?」
「え、いいの?急に来たから渡す物渡して帰ろうと思ってたんだけど」
「どうぞ。そんなに散らかってはないはずだから」
階段を上がって2階の端、201号室が私の今の住まい。
鍵を開けて、山本くんを招き入れた。
「はい、プレゼント」
「ありがとう。開けていい?」
「どうぞ」
リボンがかけられた紙袋の中を覗くと、小さなケースが入っている。
なんとなく中身が想像できるそのケースを見て、緊張が走る。
息を吸っているのか吐いているのかよく分からない状態でケースを手に取り、開けた。