「うん、覚えてるよ」

「じゃあ、ちゃんと聞いて」

「うん」


山本くんは一度息を吐き、また吸って私の目を見た。


「俺、やっぱり今も髙橋が好きです。もしかしたら彼氏がいるのかもしれないけど、ちゃんと気持ちを伝えたかった。困らせるだけかもしれないけど、あのときは電話でしか言えなかったから」


ああ、今になって瞬先生が言っていた意味が分かった。

こんな気持ちのまま、瞬先生の気持ちに応えようとするなんて、どうかしてたんだ。


「山本くん」

「はい」


今度は私が息を吐き、吸って山本くんの目を見た。


「私も、山本くんが好きです。ずっと好きでした。忘れようとしたけど、できなかった。今も好きです」


最後までなんとか言ったら急に恥ずかしくなって、うつむく。


「はーーーー」


山本くんが大きなため息をついた。

その声に思わず顔を上げる。


「よかった。気持ちを伝えたかっただけとか言いながら、不安しかなかったから」

「そんな・・・」


否定しようとして、言葉に詰まる。

もしも、瞬先生が告白してくれたときにそのまま付き合っていたら、断らないといけなくなったんだ。