「え、山本じゃん」

「ちょっと、髙橋さん泣かせんなよー」


周りに色々な言葉が聞こえるのに、涙が止まってくれない。


「ちょ・・・こっち」


困り果てたらしい山本くんは私の左手を取り、教室から離れていく。

その行動に驚いた私の涙は徐々に少なくなり、隣の校舎に着く頃には止まっていた。


「あの・・・ごめんね」

「ほんとだよ」


謝る私に、やっぱり困ったように笑う山本くん。


「でも、泣かせてごめん。ハタチのときは同窓会出られなかったから、今日はどうしても来たくて」

「ううん。山本くんに会えると思ってなかったから、うれしい。もう会えないと思ってたから・・・」


私がそう言うと、山本くんは私の顔をじっと見つめた。


「何?」

「転校が決まったときに言ったこと、覚えてる?」


もちろん、覚えてる。

あのとき、山本くん私に告白してくれたんだ。

そして、『俺はずっと髙橋を好きでいる自信しかないから。いつか会いに行ったときに、俺のことを好きになってもらえるように頑張るから』って言ってくれた。