「あ、ちょっとトイレ行ってくるね」

「あ、うん。行ってらー」


私は鞄を手に教室を出てトイレへと向かう。

トイレは教室と階段の間にあって、トイレに向かっていると、受付をしている同級生の姿が見える。

廊下にはまあまあ人がいて、受付にいる人は見え隠れする。

受付が終わった男性が、体の向きを変えてこっちに来る。

大人っぽくなった同級生たちの間を縫うように、こっちに向かってやってくる。

相変わらずの坊主頭だから、周りにいる人たちよりは幼く見える。

目が、合った。

一瞬驚いたような顔をした後、安心したように眉を下げて笑った。


「久しぶり。やっと会えたね」


その瞬間、私の胸はいっぱいになり、涙があふれ出た。

涙をぬぐうために顔に近付けた手。

そこから伸びる指には、可愛いピンクのネイルがしてある。


「あー、えっと、ごめん、髙橋。あの・・・」


私が泣いていることに気付いた山本くんはおろおろしている。