私は普段仕事で使ってる上靴だけど、未知と泉は高校のときの上靴だ。

普段使ってなかったら、今日のために準備しないといけないもんね。


「高3の教室集合だったよね?」

「うん」


未知の質問にうなずき、3人並んで歩き出す。

こうして廊下を歩いていると、まるで高校生に戻ったみたい。

お盆休み中で生徒はいないし、先生の姿もまばら。

それなのに、どこからか吹奏楽部の楽器の音や、運動部の声が聞こえてきそうな気がする。


「あ、なんかにぎやか」

「もう結構集まってるんだね」


階段を上がって教室が近付いてくると、がやがやと声が聞こえてきた。

まだ開始まで時間はあるけど、みんな楽しみで早く来ちゃったのかな。


「あ、こんにちはー」


3年生の教室がある階に着くと、長机が置かれていて、幹事の浅海くんと、駆り出されたと思われる愛菜の姿があった。


「2組の瀬尾です」

「1組の髙橋です」

「3組の木村です」


それぞれが高3のときのクラスと名字を伝え、誰も名字が変わっていないことに気が付き少し気まずくなる。