「じゃ、髙橋頑張って」


何を頑張るのかは分からないけど、南先輩との会話が終わった湊は姿を消した。


「じゃあ、髙橋さんに担当してもらうパートなんだけど・・・井上くんから、何か聞いてる?」


南先輩が、少し心配そうに眉を八の字にして言った。


「あ、はい。人手が足りないパートがあるって聞いてます」

「そうなの。それでね、もしよかったらなんだけど、パーカッションかホルンかユーフォをお願いしたいんだよね。あ、でも、どんな楽器か分かる?」

「楽器は分かります。え、その3つから選んでもいいんですか?」

「もちろんいいけど、もしかして、やりたかったのがあるの?」

「はい。実は、パーカッションをしたいなーと思ってるんですけど・・・」


その瞬間、南先輩は、ぱーっと表情を明るくした。

なんか、感情が分かりやすくて可愛い人だなあ。


「じゃあ、パーカッションに決まり!今年は1年生入らなかったって落ち込んでるから、すごく喜ぶと思うよ」