「おめでとう」

「ありがとう。入籍したらまた報告するね」


25歳ってそういう年齢だよね。

未知だけじゃなくて、明花も去年結婚して、今では子どももいる。

私もいつか、その仲間入りをしたい。


「あ、泉だ。また飛びつかれるよ」


学校の正門前に泉が立っているのが見えて、未知が苦笑いをした。


「ほんと。毎回そうだもんね」

「あ!那奈ー!」


私たちに気が付いた泉は、予想通り、私に飛びついてきた。

未知と“やっぱりね”という感じで顔を見合わせてしまった。


「泉、相変わらずだね」

「えー、ちょっとは大人っぽくなったと思うんだけど・・・」

「見た目はね。中身は変わらないよ」


泉は『そんなことないよー』と唇をとがらせながら、私たちと並んで歩き出す。

当たり前だけど、学校の中は何も変わってない。

自転車置き場も靴箱も同じだ。


「懐かしいね」


未知が上靴を袋から出しながら言った。

同窓会の案内があったときに、“上靴持参”って書いてあったんだよね。

私と泉も、持っていた袋から上履きを出す。