「高校卒業して、もう7年だもんなー」

「だね。みんな若かったね」


私と瞬先生は、思わず苦笑い。


「でも、よかったの?何か見たかったんじゃない?」

「あ、そういうことじゃないから大丈夫」


私は顔の前で手を左右に振って否定する。


「そっか。あ、ちょっと座る?」


小さな公園の前を通りかかり、ベンチもあったから座って話すことになった。

遊具もいくつかあり、天気もよくて昼間だから、子ども連れが何組かいる。


「あのさ、教えてほしいことがあるんだけど」


瞬先生は足を投げ出し、力を抜いて座っている。

それなのに、声は少し緊張しているように感じた。


「忘れられない人っている?」

「・・・何で?」

「那奈」


瞬先生は、急に姿勢を正して私と向き合った。

今度は私が緊張してしまう。


「何となく気付いていたかもしれないけど、俺、那奈が好きです。付き合ってほしい」

「うん。よろしく」

「だめだよ」