ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「あー、那奈先生、こっちお願い!」

「あ、はーい!ともくん、プリントしててね」


目の前にいた男の子にそう言い、汚物処理セットを手に内接トイレへと向かう。

そこには、おしっこをもらしたかおちゃんと、服を脱がせようとする葉月(はづき)先生の姿。

私は、床に広がったおしっこを手早く処理し、教室へと戻る。

ともくんとしょうくんが教室にいることに安心し、手を消毒する。


「せんせ、て」


最近『せんせ』、と言えるようになったしょうくんが近付いてきて言った。

『て』というのは、“手伝って”ってこと。

しょうくんの手元を見ると、課題プリントを挟むファイルがあった。

なるほど、プリントを挟むのを手伝ってってことか。


「しょうくん、先生って言えたね。手伝っても伝わったよ」


大袈裟なくらい満面の笑みで、しょうくんの頭をわしゃわしゃと撫でる。

しょうくんは照れ臭そうにうつむいて笑い、私にファイルを渡した。

私はファイルを受け取り、しょうくんに席に着くように促した。