「夜の同窓会、行く?」
葵と更紗が、瑞穂と話し始めると、湊は言った。
「行くよ。吹部メンバーにも会いたいし」
「だな。元気?」
「元気だよ」
「そっか」
「うん」
お互いに山本くんの話題が出そうで出ない。
多分、湊は山本くんと連絡を取ってるから、こっちに山本くんが戻っていることも、同窓会に出るか出ないかも、知ってる。
でも言わないってことは、私に気を遣ってるんだと思う。
「スーツ似合ってるね。優花にも見せてあげないの?」
「あいつは入学式で見せてる」
「そっか。大学同じだったね」
大学が一緒で、付き合い始めたんだっけ。
遠距離とか関係ない距離で、うらやましい。
「そろそろ座るか」
「うん」
式関係者の人たちが入ってきたから、私たちは並べられた椅子に座った。