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高校を卒業するときに後輩からもらったマグカップにアイスココアを入れ、自分の前に置いた。
私の部屋に泊まりに来た未知の前にも、他のコップにアイスココアが入っている。
「友達の家に泊まりに行くって、夢だったんだよねー」
未知はうれしそうに、私の部屋をきょろきょろと見ている。
「恥ずかしいからあんまり見ないでよ」
「あ、ごめんごめん」
未知は申し訳なさそうにしながら、ココアを一口飲んだ。
未知は、家から通える場所にある短大に通っている。
「あのね、那奈。今日は、那奈の本音を聞きに来たの」
「何、改まって」
未知が姿勢を正したから、思わず私も同じようにする。
「ずばり、山本のこと。那奈から山本の話全然聞かないから、ずっと気になってたの」
「山本くんの何を聞きたいの?」
「連絡、そろそろ取ってもいいんじゃない?って思って。高校のときは、やっぱり実家だったし制限も多かったけど、もう一人暮らしになった訳だし」