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「那奈せんぱーい」


教室から出てテラスに差し掛かると、誰かに飛びつかれた。


「ご卒業おめでとうございますぅ・・・」


既に涙声になってる桜ちゃん。


「ありがとう、桜ちゃん。泣きすぎだよ」


私ももらい泣きしそうになる。


「那奈先輩、これ、パーカッションからです」


すぐ近くで私と桜ちゃんの様子を見守っていたパーカッションの1年生が、ある物を差し出した。

メッセージが書かれた色紙と、私が好きなキャラクターのマグカップ。


「えー、ありがとう。うれしい」


やっと私から離れた桜ちゃんにも、『ありがとね』と伝える。

桜ちゃんの顔は、涙でぐちゃぐちゃだ。

こんなに思ってもらえるなんて、幸せだなあ。


「先輩、大学でも頑張ってください!」

「うん。ありがとう。みんなも部活頑張ってね」

「はい!」


桜ちゃんが一番元気に返事をして、私は思わず笑ってしまった。