「やっぱ太一とは連絡取ってないの?」

「うん。あ、年明けにちょっとだけ電話したけど」

「まじで!?何て?」


湊は身を乗り出して聞いてくる。

でも、その目は真剣そのもので、からかってる感じは一切ない。


「あー、ほら、夏休みに私が家に行ったことを聞いたらしくて、そのお礼?」


湊は、私が山本くんに会うために家に行ったことは知ってるけど、その後のことは知らない。

聞かれなかったから、言わなかった。


「え、あのとき結局会えなかったんだ」

「うん。おばさんには会えたんだけど、もう出発した後だったから」

「そっか」

「うん」


やだ、何この気まずい空気。


「よし、帰るか」

「うん、帰ろっか」


私と湊は同時に鞄を持ち、またいつものように廊下に出た。