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「ほい」

「ん?」


目の前に差し出された小さな袋を見つめる。

その持ち主は湊。

今日って何の日だっけ。

3月じゅう・・・。


「バレンタインのお返し」

「あー、そっか、ホワイトデーだ」


1か月前、いつものように湊にもチョコをあげたんだった。


「女子ってホワイトデーにもっとそわそわするもんじゃないの?」


呆れたように言う湊は、私の目の前にある椅子にドカッと座った。


「んー、別に本命にあげてるわけじゃないし」


そう、お父さんと世那と湊にチョコを渡したところで、大して意味はない。


「ふーん。木村の喜びようはすごかったよ」

「泉はいつもあんな感じだもん」

「まーな」


湊は泉の様子を思い浮かべてか、おかしそうに笑ってる。