「あー、分かった。おまんじゅう後で食べるから置いといてね」
私のまで食べてしまいかねない世那に釘を刺し、私はまた2階へ向かう。
今日は何回階段を上り下りしてるんだろう。
部屋に入ると、スマホはもう光ってない。
電話だとしても、私がなかなか出なかったから切れちゃったんだ。
スマホのボタンを押して、誰から着信があったのか確認する。
「・・・え」
一人なのに、思わず声が出た。
すると、画面が着信を知らせる。
“山本太一”。連絡を取りたくても、ずっと取れなかった人の名前。
「も、もしもし」
『もしもし。髙橋?』
「うん」
山本くんの声、久しぶりに聞いた。
山本くんも緊張してるのか、ちょっと声が高い気がする。
『ごめん、急に電話して』
「ううん、大丈夫。あ、明けましておめでとうございます」
『あー、うん、おめでとうございます』
山本くん、どうして電話をかけてきてくれたんだろう。