「世那、ちょっと休憩しておまんじゅう食べない?」


世那の部屋をのぞくと、すっかり疲れてしまったみたいで机に突っ伏してた。


「んー、食べる」

「じゃあ、降りてきてね」

「はーい」


世那がむっくりと顔を上げるのを確認して、また階段を降りる。

さっきはトイレにでも行って来たのか、リビングにはお父さんの姿があった。


「世那は静かだけど、大丈夫?」

「うん。宿題が多くて苦しんでるみたい」

「そっか、中学生だもんな」

「ね」


お父さんと話していると、お母さんがお茶とおまんじゅうを持ってきてくれた。

喉が渇いていた私は、『ありがとう』と言いつつ湯呑を持ち、一気に飲んでしまう。


「那奈ー、スマホ鳴ってる!」


階段を駆け下りる音と一緒に世那の大きな声が聞こえた。


「もー、世那くん、ご近所に聞こえるから」

「あ、ごめん。那奈、スマホ鳴ってる」


お母さんに注意された世那は、普通の声で言い直した。