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「もー、無理!」


年が明けて1月2日。

課題をしていたら喉が渇いて1階に降りようと廊下に出たら、世那の部屋から聞こえてきた世那の声。

世那らしくもない切羽詰まった声。

その理由はなんとなく察しが付くけど、ここで無視すると私はきっと後悔する。

“トントントン”と世那の部屋のドアをノックすると、すぐに『はーい』と泣きそうな声が返って来た。


「何かできることはありますか?」


何故か弟に低姿勢になる私。

その弟の前には、大量のプリント。

おそらく全て冬休みの宿題。


「理科と数学教えてー」


“泣きつく”とはまさにこのことだ。

でも、世那の偉いところは“代わりに解いて”ではなく“教えて”と言ったところ。

さすが私の弟だ、と自慢したくなる。