「お父さんに桜井誘われなかったの?」





「もちろん誘われたけど、色沙がいないとつまんないしさ。




それに、俺もそんなに学校にこだわってた訳じゃないから。」






恥ずかしそうにはにかんだ健の瞳が私に向けられた時、





一瞬心臓が大きく波打った。





健が、帰ってきた。






いつもはただ退屈なだけの塾の授業が、





今日はなんだか懐かしい時間だった。






モノクロの世界に色が付いたようで、これからが楽しみになった。