「じゃあ、また明日」
「うん、バイバイ。すずちゃん」
放課後、すずちゃんと一緒に行ったカフェの新作フラペチーノは想像以上に甘くて、疲れた体に染み渡った。
糖分を補給したおかげか、それともすずちゃんの癒しパワーが絶大なのだろうか?体が軽い。
自転車もスイスイ漕げる。
遠回りして帰ったというのに、家までの距離はいつもより短く感じた。
そして、慣れた手付きで門の鍵を開けうちへと入る。
茶色い屋根が目印の一軒家、それが我が家だ。
玄関の隣には駐車場があり、僅かに空いたスペースに自転車を停めた。
「あれ、車……。あ、そっかお父さんいないんだ」
私が帰ってくる時間にはいつも空っぽの駐車場。
そこに今日は見慣れた紺の車がある。
お父さんは移動型遊園地を管理する会社に勤めていて、時々地方へと出張に行く。
今回は福岡へ5月6日までの2週間。
GWだから大勢の人が来ると張り切っていた。
だから、お父さんが帰ってくるまでの間は私とお母さん、それから5歳になったばかりの弟・日向と3人での生活になる。
だけど、それももう慣れっこだ。