「……じゃあ、早く言ってくれれば良かったのに。まぁ黙ってた私が悪いから、からかわれても仕方ないんだけど」
それにしても、質の悪い遊びだ。
「からかうって何?」
「いや、だからその。私のことを好き……みたいな発言を度々、ね」
この期に及んでもまだ、私で遊ぶつもりだろうか。
「別にからかってねーよ。先輩の反応が見たかっただけ」
「それになんの意味があるの?」
私の反応を見て、別に楽しんでる様子もなかったし。
「先輩が俺のことどう思ってるか知りたかったんだよ。穂波先輩は勝手に俺のこと過大評価してるけど、俺は自分に自信なんかないし、だから昔もあんな言い方しかできなかった」
「あんな言い方?」
「卒業式のとき。本当は告白するつもりだった。けど、バスケ部の奴らが先輩のこといいなって言ってるのを耳にして『先輩は俺のこと好きだからやめとけ』って言ったんだよ。そしたら、じゃあ本人に聞いてみろって言われて。俺もそんなこと言った手前あとには引けなくなってさ」
初めて聞く話に戸惑いと、ひとつの違和感。
だって、それじゃあまるで、
「中学の頃から私のことを好きだったみたいにきこえるんだけど、」
「みたい。じゃなくてそうだよ」
「う、嘘」
「なんで嘘なんかつくんだよ」
「だって、約束の日来なかったじゃない」