それにしても、静かだな。

やっぱり、もう寝たのかも。

なら、私は起きてても大丈夫だよね?

頭上にある小さなランプを照らすと、そこだけが少し明るくなる。

私はその中でスマホに目をやった。

漫画アプリを開き、今日更新されたいくつかの話を読む。

配布されたチケットはあっという間になくなり、完全に目が冴えた私は今日購入した漫画を読もうとベッドから静かに立ち上がった。

その時、隣の部屋から聞こえた小さな声。

「……………だろ」

何、寝言?

気にせず、本棚へ歩み寄ろうとしたら今度ははっきりと九条渚の声が聞こえた。


「穂波先輩が隣にいると思ったら眠れねぇ」

それは夕方と同じ、私に対する言葉。

ね、寝てなかったの!?

私は慌ててベッドへ戻ると、布団を頭の上まで被った。

これで少しは防音強化(?)できるはず。

あとはもう何も考えず、瞼を閉じる。

九条渚って私のこと……。
そんなことは一切考えない!!

同居、初日。

私が眠り始めたのは朝方のことだった。