私が、辛くて、学校の隅で泣いていると、大和は来てくれた。

「見つけた。探し回ったよ。こんなところにいたんだ。
 山本に聞いた。
 女子が騒いでたのに、優奈が関係してたんだな。」
 私は、言葉を発さずに、うなづいた。

 それから、しばらく、大和はそばにいてくれた。何も言わず、ただ、黙って。

 そんな大和といると落ち着くし、好きだった。

 嫌がらせはいろいろあった。
 靴を隠されたり、給食をこぼされたり。
 小さいながらも、日々続くのが辛かった。
 私は、悩んだ末、探偵を雇い、調査してもらうことにした。

「私の旦那の浮気調査をお願いします。」
 そう依頼すると、いろんなことを聞かれ、SNSのこと、裕一の反応のことを話した。

「わかりました。依頼引き受けます。」
 探偵の町田さんは、快く引き受けてくれた。

「よろしくお願いします。」

 自宅にいつも通り戻り、何も気にしていない素振りで、過ごした。
 
 数日後、また、山田里帆から連絡あった。
 私は、夜勤中で忙しくて、休憩時間の22時ごろSNSを確認した。

「こんばんは。
 今日も、裕一さんをお借りしています。
 今日は私のアパートまで来てくれました。
 お仕事頑張って下さいね。
 裕一さんのことはご心配なく。」

 裕一が寝てる写真も送られてきた。

 憤りを感じた。
 しかし、仕事中。冷静さをすぐに取り戻した。

「そういうことですね。
 よくわかりました。」
 信じたい気持ちが大きかったが、揺らいだ。
 中学2年生になり、私は、新たに安らげる場所を見つけた。
 展望台だった。
 海側にいれば、道路からは見えなかった。

 今までとは、違った景色も悪くなかった。

 中学2年生の秋、展望台にいると、階段を上る足音が聞こえた。
 
 振り向くと、大和がいた。

「みーつけた。」
 大和は笑いながら言った。

「え?」
 私は驚いた。

「優奈は必ず海の近くにいると思ってた。
いろいろ探したけど、やっと居場所を見つけた。」
 大和が私を探してくれてたことに嬉しさを感じた。
 やっぱり大和と一緒にいたいと思った。

 それから、また、度々、大和と2人で会う時間は増えた。
 探偵に依頼してから、3ヶ月。

 探偵の町田さんより連絡があった。
「片桐さんに報告があります。」

 私は、真実を知る決心をした。

 カフェで、町田さんと待ち合わせた。

 町田さんは封筒を持っていた。
 中から、何枚も重なった書類を出した。

「これが、報告書です。」

私は、恐る恐る中を見た。

 そこには、調査内容が書かれていた。
『片桐裕一と山田里帆は不倫関係にある。』
 ある日は、里帆の家に。
 ある日は、ホテルへ。
 また、ある日は旅行に。
 腕を組んで、ホテルや部屋に入る写真が何枚もあった。
 路上で恥じらいもなくキスしてる写真もあった。
 
 私は、ショックだった。

「これをどうするかは優奈さん次第です。」
 町田さんは私に託した。

「ありがとうございました。」
 今までの報酬を支払い、町田さんと店を出て、別れた。
 中学3年生で、また、大和と同じクラスだった。

 でも、学校ではあまり話さなかった。
 大和は私を気遣ってくれていた。

 展望台で会うのは変わらなかった。

 私は、教室の机に、自分のイニシャルを掘った。
『Y・H』

 しかし、それを見たファンから呼び出しをされた。

「あんた、やっぱり、まだ、大和くんが好きなんだね。」
 言いがかりをつけてきた。

「え?」

「あんた、机に大和くんのイニシャル掘ったでしょ?」
 目から鱗だった。まさか、同じイニシャルだったとは思っていなかった。

「あ、いやあれは、私のイニシャル。」

「言い訳はいいわ。本当うざい。」
 そういうなり、私に殴りかかってこようとした。
 しかし、殴られなかった。

 目をつぶっていたから、状況は分からなかったけど、大和が前にたちはだかっていた。

「大和。」

「優奈に手を出すな。俺と関わりたいなら、優奈に2度とこういうことするな。」
 大和が一生懸命庇ってくれた。

「片桐さんごめんなさい。」
 ファンは走って去って行った。

「ありがとう。大和。」
 私は、何度も大和に助けられていた。
 大和は軽く頷いた。

 私への嫌がらせは無くなった。

 今までのことがあり、自分の足で立って歩いていける人になりたいと思っていた。
 母が強く生きてるように・・・。

 看護師になるという決意を持つようになった。
 そして、みんなが行かない高校の看護科に行くことに決めた。

 私は、夏休み、大和に伝えた。
「夢があるって、カッコいいなぁ。俺にはないなぁ。」

 嬉しかった。

「いいじゃん。まだまだ、見つければ。」

「お互い頑張ろうな。」
 大和は、応援してくれた。
 私は、裕一の浮気が確定してから、離婚するために、行動し始めた。

 まず、次に住むところを決めることにした。
 仕事の合間をぬって、賃貸マンションを探した。1人で住むため、1LDKで見つけた。

 家具家電を揃えた。

 休みの日に、実家に帰り、母にも説明した。母は、普通に受け入れてくれた。
「優奈のしたいようにすれば良いよ。お母さんは、いつも優奈の味方だから。
 辛い時はいつでも帰っておいで。」
 母は、いつも優しい。

 そして、離婚届を記入し、荷造りをした。