眼を開けなくても


手を握り返してくれるだけでもいい――・・



息をしてくれるだけでもいい――・・



指がピクッ!って動くだけでも満足――・・


だから今だけでいいから――・・



嘘つきになったっていいから――・・


お願いだからあたしを――・・



あたしたち家族を――・・


美緒、置いて行かないで――?




お願いだから――・・



そしてパパが救急車を呼ぶ。



それから程なくして


ピーポーッ!ピーポーッ!

という音と共に

赤いサイレンが

激しく光る。



「美緒・・救急車きたからあともうすぐだから・・」




そう言って怖いという想いもなく


美緒の体に触れる。



どうして朝早くに

こんな寒い冬に


ベランダ何かに出たの――・・


そうしなければ・・


いつも通りだったじゃない。


いつも通り起きて

いつも通りご飯食べて

いつも通りあたしの横で笑うじゃない。








美緒・・・・


美緒ぉ・・・・・・


美緒っ!!!!!!!!!!












返事も眼も開けることのない美緒。