俺は彼女にそのことを尋ねた


が・・・

逆に疑問形で聞き返されてしまい


俺的には困った。


そして彼女を


由紀―ユキ―とダブらせていた。



由紀は事故に巻き込まれ


まだ研修医でこの病院にいたころ運ばれてきた。




その時は声を出すにも無理なほど

息をすることもままならない程

ショックでその加害者を

恨んで

憎んで

生きてきた――・・


でもその加害者は


そのすぐあと自殺。


そして由紀も


事故のあとすぐに逝った――・・


先輩の医師も

手を尽くしてくれたのはよくわかる


俺も医師の卵だ。


だから――・・


仕方ないあれは事故だ

という俺と

嫌だ由紀と離れたくない

という俺が存在した。

俺は由紀と美緒を


ダブらせて考えていた。


それも容姿も似ていて

本当に由紀が目の前にいるかのよう――・・



危うく美緒の事を由紀と呼びそうになることもしばしば。