「どうもねぇ……」

「はい?」

 差し出された湯呑を両手で受け取り、渋い声を出した暮の顔を見上げる。

「元凶は、どうもリンらしい……」

「リン……ちゃん?」

 ──何の元凶がリンちゃんだというのだろう?

「元々おれも……あの姉ちゃんが凪徒を訪ねてきたっていうのも、モモがお洒落して帰ってきたっていうのも、リンから聞いたんだ」

「はぁ……」

 ──確かにリンちゃんはどちらの目撃者であるけれど……。

「でさ? 昨夜もあいつはあの修羅場にいただろ? で、もうその時の話が全員に流れちまってる……それも随分大袈裟なことになって」

「えっ!?」

 ──そ、それがリンちゃんの仕業(しわざ)ってこと……?