支柱に掛けておいたブランコを外して、二人同時に勢い良く流す。

 それは慣性の法則に従って、再び自らの元へと戻ってきた。

 その度に力を与え、次第に振り幅が増していく。

 向こう側から振られるブランコが、こちら側との距離を最小に縮めた時、二人は目を合わせ(うなず)いて、戻ってきたブランコをしっかりと(つか)み宙を舞った。

 手に握られた棒を中心に、自分自身もブランコになった気分で前へ押し出され、後ろに引き戻される。

 弧を描くこの数秒が凪徒にとって一番心地良かった。

 しばらくそうしてから勢いをつけ出し、膝の後ろで棒を掴むように逆さに体勢を変える。

 今日一日で既に三度同じことを繰り返しているが、モモの動きがいつになく良いのは感じていた。

 それに負けぬよう凪徒も全身で応えた。

 数回小手試しのようなやり取りを終え、やがて二人、または四人での技の応酬が始まる。

 その度に下から響くような驚きの歓声が沸き上がってきた。