【後日談】

「モモが怖々(こわごわ)言ってたんだけどさ~」

「ああ?」

 翌日、公演後の暮と凪徒。

「少なくとも三回、杏奈さんにほっぺた触られたって……何でだ?」

「やっぱり!?……あいつっ!!」

 凪徒はまるで「心配していた通りだ」という苦々しい表情をして、親指の先を軽く噛んだ。

「あいつは一人っ子なのと、忙しい親達にあんまり構われずに育ったせいか、変なシンドローム抱えてて、自分より小さくて肌触りが良くて可愛い物に目がないんだ。お陰で俺もあいつの背を抜くまでは、散々顔を触られて……危うく女性不信になるところだった!」

 ──何だ……さすがに『両刀使い』じゃなかったか。

 珍しく興奮して饒舌(じょうぜつ)な凪徒に、暮は引きつった笑いを返したが、