モモはそれに便乗するようにすかさず質問をした。

 やはりどうしても杏奈が自分に(こだわ)るワケが見えないのだ。

「あー? うーん……そうだな。もしかして“両刀使い”だとか!?」

「暮さ~ん……」

 明らかにウケを狙って飛び出させた適当な回答に、真後ろの秀成から呆れた声が上がる。

「冗談だよ、冗談! さすがにそれはないだろ~? ああ、でも、モモ、まさか拉致されて変なことされてないよな?」

「いえ……でも実は、分かっているだけで三度も頬に触れられていて……」

「「三度もっ!?」」

 モモの微妙に恐怖らしき雰囲気を含んだ返事で、同時に叫び驚愕する二人。



 ──本当に両刀使いかもしれないな……?

 ──こんな近くにそんな器用な人がいたんだ……?



 暮と秀成はそれぞれ胸の内で戸惑いながら、やや肯定する方向へ考えを巡らせた、その時。

「それで、何なんですか? その“リョウトウヅカイ”って?」

「「ええ──っっ!?」」



 モモの真っ白でまっさらな今更ながらの問いかけに、二人は本日一番の驚愕な雄叫(おたけ)びを上げていた──。



 ☆ ☆ ☆