「!……姉さんっ?大丈夫?!」
「ラン!大丈夫っ?!
レベッカ、すぐに拭く物と冷やす物を……!」
私とライは慌てて、すぐにその状況をどうにかしようとした。
火傷していたら大変ーー!!
けど。私の指示に「はいっ」と動こうとしたレベッカを引き止めるように、申し訳なさそうな表情でランが言った。
「あぁ〜!レベッカさん、大丈夫ですっ!
レノア、ごめんね〜。ちょっと手がすべっちゃったの!中身、もう少なかったし、そんなに熱くなかったから全然大丈夫!
それより、床汚しちゃった。本当にごめんね」
「そ、そんなのいいわよっ……!
それより、本当に大丈夫?火傷、してない?」
「うんっ!へっちゃら、へっちゃら!」
一瞬ヒヤッとしたけど、Vサインしながらニッと歯を見せて笑うランの様子に私は心から安渡した。
しかし、少量とは言えランが履いているショートパンツの下のタイツが紅茶で濡れてしまっている。いくら部屋の中は暖かいと言っても、濡れたままではさすがにいけないと思った。
「ラン、良かったら私の服を貸すわ。着替えましょ?」
「あ〜、そうだね。確かに、このままはちょっと気持ち悪いかも……。
お言葉に甘えてもいいかな?」
「ええ、勿論!
レベッカ、ランを私の部屋で着替えさせるわ」
「かしこまりました。ご一緒致します」
私の言葉に、レベッカは片付けを他の使用人に任せてついて来ようとしてくれた。
でも私は、首を横に振って言う。
「私1人で大丈夫!ほら、あんまり人が居たらランが着替えづらいでしょう?
貴女はライが退屈しないよう、邸内を案内してあげて」
「……分かりました。
では、何かありましたらすぐにお呼び下さい」
着替えを誰かに手伝ってもらう事に慣れていないランを気遣うような言葉を言いながらも、実は本心は私がランと二人きりで話をしたかった気持ちの表れだ。
レベッカとそんな会話を交わして、私はランを連れてパーティー部屋から出ると、自室に案内した。
……
…………。