その時。

「愁兄~!」と、言いながら
美咲が後ろから抱き付いてきた。

(お前は小学生か!)と、突っ込みたくなった。

「こら!美咲。」
と、暁斗兄ちゃんが怒った。

「何でお前は
そんなテンション高いのさ。」

「ごめぇん。」

「謝って済むなら警察は要らないよ。
…愁、大丈夫か?」

「…大丈夫…っ!」

「愁!」

「…はぁ…はぁ…はぁ…
あき、兄…はぁ…はぁ…」

「喋んな。じっとしてろ。」

暁兄はそう言いながら、
俺のシャツのボタンを
外して俺をソファに寝かせると、
薬を飲ませてくれた。

しばらくじっとしていると、呼吸も落ち着いてきた。

「大丈夫か?」

もう一度訊かれたので頷いた。

その後すぐ母さんが来て、
事情を聞いて美咲を叱っていた。

「美咲、今月
あなたお小遣いなし。」
と言われていた。

ちょっとかわいそうだけど、
自業自得ってことで。

部屋まで抱えてもらって
そのままベッドで寝た。