その時だった。

「愁兄ーっ!」

美咲が入って来たので、
一気に緊張が解けた。

俺は内心ホッとしながら、
美咲に話しかける。

「…何?」

「ありゃ、お邪魔だった?」

美咲も二人きりだと
いうことを察したのだろう。

「別に…。で、用件は何?」

「数学のノート見せて。」

「…ちょっと待って。
ほれ、持ってけ。」

「ありがと~。」

美咲は教室を出て行った。