【廉side】

悲しそうに眉を下げる澪桜。

何度も何度も、殴りたくなる衝動を抑えた。

でもこれは澪桜と父親の話だから。

澪桜と父親の最後の時間だから。

そう言い聞かせて我慢したけど……父さんも母さんもそろそろ限界が来たみたいだ。

ポタッ……と涙を流した澪桜。

「っ……ごめ、なさ……」

「澪桜ちゃん、謝らなくていいのよ」

澪桜の隣に座って、そっと澪桜を抱きしめた母さん。

その顔は、もう母親で。

「澪桜ちゃんは充分頑張ったの。だから我慢なんかせずたくさん泣いたって、吐き出したっていいの」

「絢、さん……」

澪桜を抱きしめる母さんも、涙を流してて。

澪桜がずっと求めてたのは……実の親からの愛。

愛されることで、存在意味があると思っていたんだ。