「入って下さい」
雨哥がドアを開け、タキを中に入れる。
タキが誰かの部屋に入るのは、20年振りくらいだった。
そんなにも経ってしまっていたとは…。
それ程、人を信じず、人と接していない。
その事にタキは慣れてしまっていた。
友達はもういない…。

別の…他人の家の香りはこんなんなのだとタキは雨哥の部屋を感じようとしていた。
他人の空気はこんなんだったっけ…。