嘘…。
苺美に抱きつかれた人物は、苺美の体を引き離し、後から出て来た2人の男性に頭を下げ、別れの挨拶だろう、頭をまた数回、深く下げた。
『仕事だった』と分かったのか、苺美も頭を下げ、謝っている。
2人で謝っている。
謝って欲しいのは雨哥も同様で、誰よりも許していない。
謝られても許せない。
ワインバーから出て来た人物、苺美が抱きついた人物、苺美を引き離し、2人で頭を下げている人物、それは琉羽だったのだ。
何度会ってるの?
苺美と琉羽が揃って頭を下げ、顔を見合わせている。
【今日はムリ】
【先約】
2人の文字。
この文字に、雨哥はポケットの中のスマホを握った。
『どうする?追う?でも、どっちにしても…どうする?』
雨哥が雨哥に問いかける。
そして答え、動き出した。
決めた…。