見た事のある店へ入る訳でもなく、歩き続ける。
【久しぶり。今日、何してる?ウチに来ない?】
雨哥のメッセージに【ごめん。今日はムリ。先約があるの!】と歩きながら苺美は返した。
「先約…」と雨哥はスマホをポケットに入れる。

苺美が足を止めたのは普段は入らないようなワインバーの前だった。
お酒を飲むならワイワイと食事をしながらが多い苺美がワインバーに来るのは意外だった。

「プレゼントでも買うのかな?」と少し安心する雨哥を苺美はいとも簡単に壊してくれる。
ワインバーを見ていた苺美の顔に笑顔の花が咲き、笑顔のままワインバーから出て来た人物に抱きついた。