クライアントと会っていたカフェを出て、家の方をへ足をすすめた時、その足は動きを止めた。
視界に苺美の姿が入って来たから。
なぜこのタイミングで…。
どうして見てしまうの?
家へ帰ろううとしていた足は、その姿で止まり、今はその姿を追うために動いている。
『やめよう。帰ろう。別に何もないってば…』
そう思っても、体はその姿を追うのを止めようとしない。
止めるどころか、逃がそうとしない。
見つけてしまったと言う事は…意味があるはず…。
悪い事しか起きないと分かっているのに…。
アイツに関して良い事なんて起きないのに…。
逃がさない。
嫌なのに…。

私が見てしまった理由があるから、こうして見てしまう…そう考えた。