カメラがそれが通るのを収めた。
目の前を通る苺美の姿。
そして、その右手首にあのブレスレットが着けられているのを。
なぜだか、苺美はあの日、雨哥が拾った行方不明者が着けていたブレスレットを右手首に着けていた。

苺美が戻って来ず、見えなくなった頃を見計らい家へ帰った。
手洗いうがいを手早く終わらせ、リュックを投げ下ろし、その場所を見る。
ある訳がない。
苺美が持ち去ったのだから。
行方不明者が着けていたのと同じブレスレット。
雨哥が拾ったブレスレット。
拾ったその日のうちに貼られた行方不明者の紙。
そこに写っていたブレスレット。
けれど、そんな事よりも『どうやって入ったの?また入られる?【今何してる?】は入るため?』

また苺美が嫌になる。
これは止まる事はないのだろうか…。
本当に…どこまで…。
どうして “嫌(いや・きらい)”を増やすのだ…。
嫌になるのは嫌なのに…。
ため息をつき、買って来た大好きなビーズをテーブルに並べる。
ビーズは笑顔を戻してくれる。
心からの笑顔。
キレイな笑顔にしてくれる。