「大丈夫?」と雨哥が聞くと、鼻をすすりながら「くすり…」と苺美は言う。
「あっうん。これ」と薬を差し出すと、一気にその薬を苺美は取ろうとした。

けれど、取り損ない、薬が床に落ちる。
ばら撒かれるように落ちた。

「苺美」とドアを片手で止めながら、薬を拾うために、苺美の足元にしゃがむ。
しゃがんだ雨哥の目に、それは映ってしまった。
苺美のパジャマの裾から見えている足首に痣(アザ)があるのだ。
まだ新しい痣。
そして、その痣はちょっとやそっとでは出来ないような酷い痣。