タキの声で2人が移る。
証明の赤秒刻(とき)。
そっとお互いの右手を握り、傷口に口唇を近付ける。
目を瞑り、ただその赤の側へ。
温かい。
口の中で広がる赤。
こんな…こんなにも…。
雨哥の目から涙泪(なみだ)が落ちる。
垢で溢れた透明の粒。
止まらない。
雨哥の中で答えが出た。
琉羽は初めての赤の味だが、きっとこの答えで合っている。
2人の証明の答えが出た。
歌も琉羽も同じ。
もう言葉なんて無意味で必要ない。
透明と赤が交わる。